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大西美奈・アーティストドール「emily」

ビスクドールとは、19世紀のはじめにフランスで生まれたお人形です。
二度焼きした高級磁器の事をフランス語でビスキュイといい、その製法で創ったお人形をビスクドールと言います。

●磁気と陶器の違い

磁器は、陶器と使う素材・素地が異なります。磁器の素地は、細かく色が白く光を通します。また高温で焼くので硬度があります。

1800年代初期、社交界の貴婦人に、国境を越えてオートクチュール衣装の注文を取るため、小さなマヌカンとして8等身のファッションドールが創られました。
このマヌカンを上流階級の婦人達がお揃いの洋服を着て抱いて歩いたりもしました。

その後、BeBe(ベベ)と呼ばれる、ビスクの頭部の5頭身くらいの抱き人形が誕生します。
このお人形は上流階級の少女の遊び相手として愛されました。
髪の毛は、ヤギの毛で作られたモヘアウィグ、
目はペーパーウエイトアイという高級ガラス、
レースやモチーフをふんだんに使った衣装や人間用と見紛うようなバッグや靴など、
職人の技による素晴らしい出来のお人形は、皆をとりこにしました。

人気工房で作られたお人形達と同じ仕様で現代で再現したタイプを「リ・プロダクション」と呼びます。
大西美奈は、ビスクドールの創作人形・リ・プロダクション・他メーカードールのスペシャルエディションのプロデュースなど、幅広く手掛けています。

ビスクドールの中でも最高峰のオールビスクの球体関節人形です。
髪の毛は、モヘア・目はペーパーウエイト・ドレスは下着から全てシルク製です。
レースはフランス製のリバーレースを使用し、靴は裏にMINAという刻印がある革製です。

スタッフコメント

ビスクドールを初めて見たのは、おそらく小学校の時だったと思います。
旅行先で訪れた資料館に「アメリカから贈られたお友達」という紹介で飾られていた青い目のお人形。深い青の濡れた様な瞳と少し寂しげでありながら凛としたまなざしは、それからずっと私の心の中で、いつまでも静かに輝いています。

その時のお人形がどんなお洋服を着ていて、髪の毛さえどんな色だったかも思い出せない程ずっと前の事です。しかし、それにかかわらず、あの遠くを見るような瞳を忘れることは出来ません。

いつの日か、ビスクドールを創りたいと思っていました。

瞳の色は深い青、髪の毛はそれに似合うブロンドヘアー…透き通った深い青の目にしっとりとした質感の肌、柔らかなブロンドヘアーのビスクドール *Emily* が誕生しました。


今考えると、そのお人形はビスクドールで、目はグラスアイだったのだと思います。当時は子供が遊ぶお人形はソフトビニールや布の抱き人形が主流で、飾るお人形はフランス人形や陶器製でした。それらとは全く異なったいかにも外国の面持ちを持った初めて見るお人形はとても印象深く私の心に残りました。

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